3月21日 発災から一年を経過した被災地の状況と課題

 東日本大震災の発生から一年が過ぎました。今なお岩手県内でも1,200名を超える方々が行方不明となっていて、厳寒の中で海中捜索活動が続けられています。災害で家屋を失った方々は避難所での生活から昨年9月頃までには仮設住宅での生活に移りましたが、復旧・復興計画の遅れから明確な生活設計を立てることが出来ずに、これからの生活について多くの方が不安を口にしています。
 被災者のこうした不安を和らげ、被災地からの人口流出や産業(企業)流失に歯止めをかけるためにも、復旧・復興事業をスピードアップしなければなりません。まさに時間との競争であることを強く感じます。そして、被災された方々にこれからの生活設計を立ててもらうためにも、復興にむけてのタイムスケジュール(とくにも公営住宅などの整備について)を明確に示すことが必要です。

・非常事態おける規制のあり方
 災害復興にむけて特区として様々な手立てが講じられることになりましたが、いずれも現行の法規制を緩和する域にとどまっているように見受けらます。私は今回の未曾有の大震災・大津波は、まさに非常事態であって、平時の規制はでき得る限り停止するぐらいの対応が被災地特区として必要と思います。
 例えば、居住地を高台に移転しようとすれば、山を切り拓いて宅地を造成しなければなりませんが、三陸沿岸は縄文時代からの遺跡が多く、直ぐに埋蔵文化財の問題に遭遇してしまいます。埋蔵文化財の記録は学芸員の職にある人がこれに当たりますが、学芸員の不足もあって、一たび埋蔵文化財が出てくると何年も居住地造成が止まってしまいます。同様のことは農振地域解除の手続などでも言えることで、平時の規制を適用することが復興事業のスピードの足を引っ張っているように思えます。

・瓦礫の処理
 復旧にあたって最も早く終わらさなければならないのが瓦礫の処理であることは論を俟ちません。
 現状は、市町村による一次処理(仮置場への搬入・分別など)は終わったものの、二次処理(最終処分)が未だ滞り、今後の目途も立たない状況にあります。
 膨大な量の瓦礫を最終処分するには、被災県内だけでの処理では全く不可能であり、各都道府県(市町村)の協力による広域処理を進めることが不可欠です。今般、自民党の発議による法律に基づいて政府が、ようやくにして各都道府県知事に対して広域処理への協力を要請する文書を発出することになりましたが、政府の対応の遅さを示す一例であります。
 また、被災県内での最終処理を進めるためにも仮設処理プラントの増設、さらに最終段階で発生する焼却灰を埋却する処分場造成に対する国の補助率の引き上げ(現行1/3)も必要と思われます。

・マンパワーの不足
 復興事業そのものも中々進まず、せっかくの第1次~第4次補正も繰り越しが重なっている状況にあります。その要因の一つは決定的なマンパワーの不足にあります。
 先に例としてあげた学芸員をはじめ漁港などの復旧設計を行う技師から実際の作業を行う人夫まで、あらゆる段階で人手が足りない状況にあります。
 とくにも学芸員や設計技師などの場合は、各都道府県の協力を得て被災県に派遣をしてもらわなければならず、政府が前面に立って派遣斡旋などの対応をすべきだと思います。


 昨年の3月11日の大震災から一年が過ぎましたが、被災地の現状は復旧・復興には未だほど遠い状況にあります。復旧・復興が遅れれば遅れる程、人口や企業の流失が進んでしまうのではないかと強く危機感を持ちます。
 被災地にあって感じることは、政府が被災現地の実情を把握するのに時間がかかること、そして、対応策も逐次投入のようで遅いということです。発災一年という節目を迎え、政府には今一度これまでの対応を点検し、改善すべきところを改善して、復旧・復興への進捗を早めることを強く望むものです。

2012.3.21

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